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『北島式筋トレ塾 最短・最速で究極の身体をつくる』北島達也著 講談社
最近は日本においてもボディメイクのためのワークアウトに励む人が増えてきました。
ワークアウトというのはいわゆる筋トレでいうトレーニングとは少し意味合いが違います。
ワークアウトというのは確かにトレーニングと同じように運動する、鍛えるなどの意味合いがあります。
しかしトレーニングというのはコーチの指導に従ってやる、訓練するという、どちらかというと他人に強制的にやらされるというニュアンスがあります。
なのでトレーニングという言葉はスポーツでトレーナーに練習をやらされる、軍事教練で教官にトレーニングされるといった時に使われます。
ワークアウトはそれとはちがってもっと自分から積極的に、ポジティブに、自発的に自分自身を鍛えるというニュアンスがあります。
Work=動いて、Out=結果を出す、つまり自分がイメージする身体に自分で作り変えるという意味合いがあります。
トレーニングではなくワークアウトするには、自分の頭で筋肉肥大のメカニズムを理解し、正しいフォームを学んで、負荷のかけ方、休息の取り方、栄養の摂取など多岐にわたって勉強していく姿勢が必要になります。
フィットネストレーナーの北島達也さんは、日本で常識とされる方法でやってもなかなか自分の思い通りの肉体にならなくて悩んだ経験をお持ちの人です。
そのあと渡米してアメリカの先進的なワークアウト法を学び、現地の大きな大会で優勝するほどにまでなった経験の持ち主なので、その理論と実践法には説得力があります。
今流行りの細マッチョって本当にカッコいい?
北島さんは最近日本ではやりの細マッチョがカッコいいという風潮に疑問を持っています。
なぜなら細マッチョだと自分の生まれ持った体格が露になってしまうからです。
細マッチョ型体型は髪型でいう「坊主」と同じ。
頭の形が悪い人が坊主頭にしたら、それはカッコ悪い部分を露出させることになり、なにもいいことはありません。
坊主頭が似合うのは生まれ持っての頭の形の良さが必要ですが、骨格にも同じことが言えます。
あなた自身が自分の骨格に自信があるなら、たとえば手足が長いとか頭が小さいとかなら細マッチョも似合うかもしれませんが、多くの人は残念ながらモデル体型ではないはずです。
モデル体型ではない一般人がかっこいい体つきになる方法は、骨格と違って自分でコントロールが可能な筋肉肥大をうまく使って体型のバランスとフォルムをつくることです。
北島さんはいいます。
正しいテクニックさえ身に着ければ、髪型を変えるように体型も自分の望み通りにデザインすることができます。
髪型を変えるように自分の身体を自分でデザインする。それがワークアウトの醍醐味の一つなのです。
細マッチョはあくまでも理想の肉体への通過点にすぎません。
太ったたるんだ身体をとりあえず細マッチョにしてみることは大切ですが、そこで満足しないでもっと上のレベルの身体を目指してほしいと北島さんは言います。
モテル筋肉とモテナイ筋肉の違い
北島さんによれば、筋肉を鍛えるといってもやみくもに全身の筋肉を鍛える必要はありません。
筋肉にはモテル筋肉とモテナイ筋肉があり、鍛えるのはモテル筋肉だけでいいのです。
それではモテル筋肉とは一体どういう筋肉なのでしょうか。
モテル筋肉は、大きいだけでなく「各部位の輪郭がはっきりしている」のが特徴です。
ボディビルダーの評価にはセパレーションという項目がありますが、これは筋肉の輪郭がはっきりとわかれているかどうかが評価の対象になります。
セパレーションがはっきりしているほど、体はメリハリがついてきれいに大きく見えるのです。
それでは重点的に鍛えるモテル筋肉はどこにあるのでしょうか。
北島さんによればそれは、胸、肩、背中、腕、腹だといいます。
逆に下半身の筋肉は、あくまでも一般人でのレベルの話ですが、上半身のトレーニングの時に副次的に下半身も鍛えられますので、そこまで気にする必要はないといいます。
なのでまずは上半身の筋肉の強化に集中したほうがよいでしょう。そうすればいわゆる逆三角形のカッコいい体つきになっていくといいます。
逆に鍛えてはいけないモテナイ筋肉は、「くびれ」にある筋肉です。
くびれにある筋肉とは、首のつけ根、ウエストの側面、おしり下部、ひざの下、足首などです。
これらを太くすることはまさにくびれを無くしてしまうことになるわけですから、他人から見て美しい体つきにするためには鍛えてはいけないのです。
ちなみに美容のためのボディメイクではなく、アスリートなど特定の種目のための筋トレは当たり前ですがこの範疇ではありません。
重量挙げの選手はまさにくびれのない体型をしています。超人ハルクを思い浮かべていただければわかるように、重量挙げの選手はくびれがない寸胴な体形をしています。
これは体の節々にくびれがある状態で過重がかかると、そこがボトルネックとなって重りを支えきれなくなるからです。
重量挙げの選手はハリウッド映画でスターになるのが目的ではなく、大会でメダルをとることが目的なのでこのような体格になっているのです。
モテル筋肉にはつま先重心を意識せよ
モテル筋肉だけを正しくつけるためには強化する部分に注意するとともに、重心のかけ方にも注意を払う必要があります。
重心というのはつま先重心かかかと重心かということです。
日本人は農耕民族なので基本的にかかとに重心がかかっています。
これに対して欧米の狩猟民族は常に獲物を見かけたら走り出せるようなレディポジションにしておく必要があったためにつま先重心になっています。
かかと重心の何が問題かというと、かかとに重心がかかると体全体としてバランスをとろうとして頭、あごを突き出そうとします。
そのため背中は丸まり、いわゆる猫背になります。
こうなると首のつけ根やひざの上、足首など、いわゆるくびれにあるモテナイ筋肉に自分の体重がかかるためにその部分が太くなってしまうのです。
これに対してつま先重心だとバランスをとるために、骨盤が前傾して胸が開いて背骨が自然とS字状になります。
つま先重心というのは具体的には足裏の親指のつけ根にある母指球に重心をかけることです。
ふだんからこの母指球に重心をかけ、トレーニング中もつま先重心を心がけることで、モテナイ筋肉に負荷がかからずモテル筋肉だけ大きくすることができるようになります。
このつま先重心かかかと重心かというのは日本のトレーニングの常識ではかかと重心にするように指導されてきました。
しかし北島さんによればこれはフィットネス先進国アメリカの常識が誤って日本に伝えられてきたからだといいます。
アメリカではトレーナーがかかとに重心をかけるように指導されるからです。
しかしこれをそのまま日本に持ってくるとおかしなことになります。
先ほど言いましたように欧米民族はもともとつま先重心なので、欧米でトレーナーがかかと重心にしろというのはつま先重心を少し修正するためです。
しかしもともとかかと重心の日本人にさらにかかと重心を勧めてしまってはその弊害はとても大きくなります。
つま先重心の欧米人がかかと重心に修正をかけるように、かかと重心の日本人はつま先重心をこころがけることが正解なのです。
モテル筋肉にはマシンよりもダンベル
初心者が筋トレを始めようとするとジムでのマシンを使ったトレーニングが普通は推奨されます。
マシンは可動域がマシンによって制御されており軌道が安定していて安全性が保たれているため、ある意味何も考えなくても力を入れることに集中できるからです。
しかし北島さんは初心者こそフリーウェイトでのワークアウトを推奨します。
そもそも筋肉が肥大化するメカニズムが、脳が筋肉に強い負荷が与えられると危機感を感じて今の筋肉量だと対応できないと筋肉を肥大化させるよう指令を出すことから始まります。
そしてメリハリのある筋肉をつけるためには、
ターゲットとなる筋肉だけに、どれだけ強い負荷を与えられるか
が大事になってきます。
マシンを使ったワークアウトは、狙った筋肉をピンポイントで鍛えるのには不向きなため、狙った筋肉以外の周辺の筋肉まで鍛えてしまい、セパレーションのないのっぺりとした体つきになってしまいます。
フリーウェイトのトレーニングをするにはダンベルを使うことになります。
ダンベルを使う3大メリットは、
- 狙った筋肉だけに強い負荷をかけやすい
- フォームやコースを微調整できる
- ウェイトを変えることができる
ほかに腕立て伏せなどの自重トレーニングもフリーウェイトですが、負荷の調整や角度に制限があるために、効率的に鍛えるためにはダンベルのほうが良いです。
最短最速で北島ワールドにひたってみよう
この本にはモテル筋肉を鍛えるための必要にして最小限のワークアウト種目が解説されています。
なのでいたずらに数多くの種目をこなすのではなく、最初は部位を限定して正しいフォームでその部分を集中して鍛えてみましょう。
一つの部位を肥大化させることができたなら、筋肉の鍛え方育て方を理解することできますし自信もつきます。
あれもこれもすると疲労からフォームが崩れたりエネルギーが枯渇して逆に筋肉が育たないこともあります。
なので初心者はまず一つの部位を正しいフォームで大きく育てることに集中しましょう。
北島さんはこのほかにもyoutubeでの無料動画解説、有料動画での詳細なワークアウトプログラムを用意していますので、関心を持たれた方は検索してほしいと思います。