Contents
糖質制限以外にも食事法はいくつもある
現在ライザップなど大手のトレーニングダイエットジムなどでは短期間での減量を目標として、糖質制限ダイエットを採用しているところが多いと思います。
これには理由があります。それは糖質ダイエットには即効性があるということです。それなりの体重の人であれば、2か月で10キロ以上の減量も可能です。大手のジムは短期間での減量を売りにしているので、糖質ダイエットを採用しているわけです。
しかしそれゆえにこそリバウンド率も高いといわれています。ライザップさんもリバウンド保険などリバウンドしないためのシステムを準備していますが、逆にそのことがリバウンドしやすいダイエット法であることを示しているともいえるでしょう。
そこまで急いで痩せなくてもいいし、リバウンドも嫌だ、炭水化物抜きだなんて考えられないという人もたくさんいらっしゃると思います。なにも糖質抜きが流行っているからと言ってすべてのダイエッターがそれを採用する必要はないのです。
そのような方にあう食事法はたくさん存在します。ここでは糖質ダイエット以外の代表的なダイエット食をいくつか紹介したいと思います。それぞれのメリットデメリットを考えて選択の参考にしてほしいと思います。
またほかの記事糖質制限ダイエットは本当に危険なのか、そのリスクを考えるでも、色々な食事法の比較検討をしていますので参考にしてください。
リバウンド率の低い地中海食ダイエット

地中海というとエーゲ海などギリシャとかイタリア南部とか南仏とかの国の食事法を思い浮かべますが、ここでいう地中海食というのはおもにシチリア島の人やギリシャの人の食習慣のことです。
地中海料理の特徴はなんといってもオリーブオイルを多用することです。オリーブオイルはオイルといっても不飽和脂肪酸をたくさん含んでいるため、血中のコレステロールや中性脂肪の値を下げてくれる働きがあります。
ギリシャ人の一年間のオリーブオイルの消費量は約18キログラム程度、これは毎食スプーンひとさじのオリーブオイルを摂取していることになります。対して日本人は0.5キログラム程度といいますから、比較にはなりませんね。
・良質なオリーブオイルを料理にたくさん使っている
・肉や乳製品以上に魚を多く摂取している
・野菜や果物、ナッツ類、豆類、イモ類もよく摂取している
・穀物も未精製の全粒粉のパンなどをふんだんに摂取している
・ワインなどのアルコールも少量から適量摂取している
こうしてみると地中海食は制限が少なく、また日本人の食習慣ともよく似ているので日本人にもなじみやすい食事法であるといえます。実際地中海式和食など、関連書籍も多く出ていますし、サイゼリアさんなども南イタリア食として地中海食を提示しているといっていいと思います。
地中海食はアンチ糖質制限食として書かれている記事が多いのですが、ダイエット食というよりは健康維持、長寿食としての意味合いのほうが強いような印象を受けます。実際、地中海沿岸の国の人の平均健康寿命は世界でも上位に入る国ばかりです。
地中海食をダイエットに使うなら、消費カロリー以内に抑えながらオイルも糖質も取っていいよという食べ方になります。ただしオイルは良質なオリーブオイルやEPA、DHAを含んだ魚料理から、そして糖質も全粒粉という未精製の小麦を使ったライ麦パンなど血糖値を上げにくい低GI食材を使ったものから摂取するということになります。
最近は間食やおやつとして味付けされていないナッツ類が推奨されていますが、これも地中海食の成功から来ています。ナッツというとアーモンドやくるみを思い浮かべる人が多いと思いますが、最近はピスタチオなんかも有名ですよね。
アーモンドなどは高カロリー高脂肪の代表的な食べ物で、ちょっと前なら鼻血がでるよなんていわれていたものです。実際カロリーは高く、ダイエット食として向いているのかと疑問を感じる人がいてもおかしくありません。
しかしナッツにはオリーブオイルと同様不飽和脂肪酸を含み、コレステロールの低減と生活習慣病の予防になります。食物繊維が約3g 摂れると言われるアーモンド25粒を食べることで、1日の必要推奨量をクリアできます。
適量であればカロリーを増やさずに健康的な食材になりえるのがナッツ類なのです。市販の糖質たっぷりのお菓子を置き換えることで大きなダイエット効果にもなりえます。
総評としては、糖質ダイエットほど即効性はないけれども、自由度が高く満足度も高いためにリバウンドしにくく、長期的に続けて行ける健康に良い食事法ということになるかと思います。
専門家の間でも評価は高く、玄人好みの食事法ともいえると思います。ゆっくりしっかり楽しみながらダイエットするならこちらですね。
地中海食についてはこちらの記事も参考にしてください。
一昔前の減量食といえば低脂肪食

糖質ダイエットが出る前は、病院で施行されるダイエット食といえば低脂肪食でした。ここでいう低脂肪というのは二つの意味合いがあります。
脂肪がダイエットの文脈で忌み嫌われるのは一つは脂肪という栄養素はカロリーが高いことです。脂質1gのカロリー数は9キロカロリーです。これに対して炭水化物やたんぱく質は1gあたり4キロカロリーになります。ですので脂質は炭水化物やたんぱく質と比較して2倍以上のカロリーがあることになります。
ちょっと前のダイエットといえばカロリー制限がほとんどでしたから、そうなると脂質が敵視されてしまうのも致し方ないかなという気がします。
もうひとつはコレステロールの害です。コレステロールとは脂質の一種で、男性ホルモンや女性ホルモンの源にもなりますし、細胞膜の生成の原料ともなります。なのでコレステロール自体は体に害があるものではありません。
コレステロールが問題になるのは、過剰摂取によって肝臓で生成されたコレステロールを血管を通じて全身に運ぶ際に、血管内に付着して血管を固くしたり、血流を制限してしまうことです。
・カロリーが高い脂質を抑える食事法である
・コレステロールの源になるトランス脂肪酸の摂取をできるだけ避ける
・肉類や乳製品に含まれる飽和脂肪酸の摂取もできるだけ避ける
・肉類、バターなどの乳製品、マーガリンなどを避け、オリーブオイルや青魚は推奨される
・主に心疾患や血管障害の症状を持つ患者さんに適用される食事法
低脂肪食のダイエットとしての評価はそのほかの食事法と比較して特に優れているわけではないようです。
この食事法が広まった際に一番敵視されたのはステーキと並んで卵です。卵を摂取するとコレステロールがたまるということでお医者さんも含めて卵の制限が声高に叫ばれたのです。しかし今では卵は完全色として、いくらでも食べていいということになっています(1日3個がお勧め)。えらい変わりようですね。
低脂肪食は日本人の食生活が欧米化する中で、そのアンチテーゼとして推奨された側面もないとは言えないと思います。卵の例をみても今食べてはいけないとされてるものも、時代が変わると推奨されるかもしれません。このように食事法の評価は医療界でもまだ定まっているわけではないのです。
肉、卵、チーズをがっつりMEC食

MEC食であってMAC食ではないので誤解のないようお願いします。MECとはその名の通り、Meat(肉)、Egg(卵)、Cheese(チーズ)を中心によくかんで食べるというものです。
炭水化物の過剰摂取に苦しむ現代人に対して、炭水化物を減らす代わりにたんぱく質と脂質をしっかりとって生活習慣病や肥満、糖尿病などの症状を改善していきましょうという食事法です。ですので、MEC食は低糖質食の1種であるともいえます。
具体的には、1日当たり「肉を200グラム」「卵を3個」「チーズを120グラム」を摂取することを基本として、それでも足りなければそれ以上とってもかまわない。その結果として炭水化物の摂取は減ればいいという食事法です。
・肉を200グラム、卵を3個、チーズを120グラム摂取を目標とする
・たんぱく質・脂質を十分にとり、炭水化物は食事の最後に廻す
・一口につき30回は噛む
・野菜は積極的に取る必要はないが、葉野菜はビタミンCが取れるのでよい
実際のところ卵3個はともかく、毎日肉200g、チーズを120gというのは結構きついものです。肉を薦めるのはたんぱく質と一緒に脂質も取れるからでしょうが、毎日ステーキを食べるというのも現実的ではありません。
ここら辺は個人で納豆や豆腐などの植物性たんぱく質、オリーブオイルやサバ缶などで良質な脂質をとることで代用する工夫をすればよいでしょう。
糖質ダイエットでは血糖値を上げないために食べる順番にも気を遣うわけですが、MEC食も肉やチーズで胃袋を先に満たしてごはんは最後ということには変わりはありません。
MECではよく噛むこと、口に入れたら30回は噛むことをセットとして薦めていますが、これも満腹中枢を刺激して糖質をとる前に食事を終わらせるという考え方です。
野菜はとらなくていいの?
じゃあ野菜はとらなくていいのかという話になりますが、提唱医師によるとビタミン類は肉や卵からも摂れるので、摂るなら炭水化物とともに食事の最後にしましょうということです。
健康的な食事というと野菜中心の食事というイメージがありますが、これだとカロリーは抑えられても同時に栄養も不足するリスクがあるということだそうです。同様に糖質ばかりとって肥満になる人は、カロリー過多で栄養不足ということで、どちらも栄養不足に陥ってることには変わりがないということです。
そのためまずMECを中心に栄養をがっつりとって、おなかに余力があれば野菜や糖質を食べてもいいという発想なのです。
食物繊維や糖質は消化不良で胃もたれがしやすいため、あまりお勧めしないともいいます。この辺については健康に関心を持つ人は違和感を持たれるかもしれませんね。
MEC食の詳しい紹介については、こちらの記事も参考にしてください。
高血圧予防として生まれたDASH食

DASH食というのはなかなか日本人には聞きなれない言葉ですが、鉄腕DASHで出される食事のこと、、、ではありません。。。
”DASH”とは「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の略で、要は高血圧を防ぐための食事法という意味になります。
高血圧をふせぐためには減塩が必要になります。なので塩分摂取を抑えながら、もしくは排塩してくれるミネラル分と一緒に摂る食事法ということになります。
具体的にはカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルの積極的摂取とともに、炭水化物は控え、脂肪は適量を摂取する食事法ということになります。ダイエットとしてやるなら、糖質は1日130g程度に抑え、雑穀米や全粒粉のパンなど食物繊維とミネラルが一緒に摂れるものが効率的です。
DASHでは食物繊維の摂取は推奨されます。というのは水溶性の食物繊維は体内でナトリウムと結びついて余分な塩分の排出を促してくれるからです。その点では上のMEC食とは対照的かもしれません。
・DASH食はもともとは高血圧予防の食事法
・塩分は控えめに、排塩を促してくれるミネラルと一緒に摂る
・炭水化物をかなり控える代わりにたんぱく質と脂質は充分に摂取する
・食物繊維とミネラルが豊富な雑穀米や全粒粉のパンやオートミールなどを推奨
・野菜や果物、豆類、魚介類、海藻、卵、低脂肪乳製品も積極的に摂取する
こうしてみると地中海食と近いと思われた方がいると思いますが、実際アメリカの医療業界ではDASH食は、地中海食と並んで近年高く評価されているのです。
地中海食では調味料として塩分を使う代わりにオリーブオイルを使っているため自然と減塩になりますし、全粒粉のパンなどで摂取できる食物繊維とミネラル分によって排塩もしてくれるわけです。
DASH食についてはこちらの記事も参考にしてください。
日本の伝統的な和食、一汁一菜

さて最後に取り上げるのは、日本が世界に誇る和食です。
ご存知の通り和食は世界的にも健康的な食事だと評価されています。評価されてはいますが、評価されているのは戦後の欧米化された食事ではなく、日本の伝統的な一汁一菜(いちじゅういっさい)のことです。
京都の名料亭である菊乃井の御主人の村田吉弘さんが言っていることなのですが、世界の料理は脂質を中心に作られているけれども、唯一和食だけが出汁で味をとって昆布のグルタミン酸や鰹節のイノシン酸といった良質なアミノ酸でうまみ成分が中心の料理だということです。
脂質はどうしてもカロリーが高くなりますが、うまみ成分はたんぱく質なので、和食は自然と低カロリーになるということです。
もし和食に欠点があるとするなら、ごはんが主食なので、おかずの味付けがどうしても濃くなりがちで塩分過多になりやすいということです。本来薄味でも問題ないのですが、食の欧米化で特に外食では濃い味付けになりがちのため、どうしても和食でも手間がかかるうまみを使った味付けよりも塩を使った味付けになりやすいということです。
また一汁一菜では基本的にはおかずを食べてごはん、ご飯を食べたらおかずといったようにごはんとおかずを反復するような食べ方が模範とされてきましたが、この食べ方だと食べ順ダイエットと比較してどうしても血糖値があがりやすくなります。
何気なくおかずを食べていますが、ごはんなしでおかずだけ食べてみると、その味の濃さに驚くはずです。ごはんの存在が味付けの濃さを中和してくれているんですね。
自分は糖質制限食を採用したのですが、やっているうちに結局は納豆、豆腐、ゴマ豆腐、もずく、酢、刺身、こんにゃくなどの和食に並ぶ定番食材がローテーションになっていきました。
やはりこれらの食材は日本の伝統的な食材なので手に入りやすいですし、安価ですし、調理もしやすいというかそのままで召し上がれますよね。
和食については、以下の二つの記事も書いていますので参考にしてください。
糖質にこだわらず自分にあった食事法を選ぼう
糖質ダイエット以外の効果的な食事法を挙げてみましたが、もちろんこれら以外にもたくさんの食事法は存在します。
今は糖質ダイエットが流行っていますが、本来食事法は流行りや廃りではなく、医学的・栄養学的に吟味して決めることです。
自分の身体の状態、好み、リターンとリスクを理解したうえで選択することが大切です。オリーブオイルがどうしても苦手で醤油が好きという人が無理に地中海食型の食事法を選択しても途中で嫌になってしまうでしょう。
どの食事法を選んでも、基本はカロリー制限や栄養素制限はなされますので、自分がつづけていける食事法を自分が納得して採用することが必要です。
とはいえ、食事法は相互に影響しあっているわけで、何もこれと決めたらずっとその食事法を選択する必要はないわけです。たまにはオリーブオイルを使ってみようとか、間食にはチーズを食べてみようとか、部分的にいいとこどりすることが食生活を多彩にして満足感を挙げてくれるわけです。
食事法はあくまでもベースなので、後は気分や嗜好にそって適宜食材は選んで言っていくのが続けていく秘訣ではないでしょうか。
糖質制限以外にも様々な食事法が存在する
代表的なのは地中海食、低脂肪食、MEC食、DASH食、和食などである
それぞれの特徴やリスクを踏まえたうえで自分に合った食事法を選択する