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『炭水化物を食べながらやせられる!地中海式世界最強の健康ダイエット』横山淳一著 SB新書
地中海食と聞いてイメージするものは何でしょうか。自分はやはりオリーブオイルです。
この本「炭水化物を食べながらやせられる!地中海式世界最強の健康ダイエット」は著者の横山淳一先生はイタリアの食文化に詳しい糖尿病認定医でもあります。
地中海食とはその名の通り、南イタリアやギリシャなどの地中海沿岸諸国で食べられている伝統食の総称です。
オリーブオイルを多用して、野菜、豆、パスタ、魚介類などの食材を生かした料理のことです。
日本では地中海食の知名度はまだ低いのですが、世界的にはリバウンドの少ないダイエット食として注目されています。特に肥満の増加が社会問題となっている先進諸国では、地中海食がちょっとしたブームです。
ちなみにユネスコの無形文化遺産登録に和食にさきがけて2010年委登録されています。
この記事では地中海食のダイエット食としての優れた点について、本書の内容の一部を紹介したいと思います。
糖質制限より地中海食
現在ダイエットのトレンドといえば糖質制限食です。本ブログでもダイエットでは主に糖質制限食を推奨しています。
それではなぜ地中海食が健康食として注目されるようになってきたのでしょうか。
それは2008年にだされた論文にあります。この論文は専門誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された「ダイレクト研究」というものです。
これは以前書いた糖質制限のリスクについての記事でも言及していますので参考にしてください。
本研究では次の3つのダイエット法について比較研究しております。
- 地中海食(女性1日1500kcal、男性1800kcalのカロリー制限)
- 低脂肪食(女性1日1500kcal、男性1800kcalのカロリー制限)
- 低糖質食(カロリー制限なし。最初の2か月は1日20g、3か月目から120g)
その結果ですが、次のようになりました。
- 地中海食 女性6.2kg減 男性4.0kg減
- 低脂肪食 女性0.1kg減 男性3.4kg減
- 低糖質食 女性2.4kg減 男性4.9kg減
男女別の結果がでていますが、結構顕著な差が出ているのが興味深いと思います。
特に女性に限って言えば、地中海食が非常に効果が出ているのに対して、低脂肪食はほとんど効果が出ていません。
男性が3つのタイプで女性ほどの違いはないのに対して、女性のこのタイプ別の効果の差は顕著です。
なので特に女性にとっては地中海食ダイエットはお勧めできますし、逆に低脂肪食ダイエットはお勧めできないというコトになります。
男性に限って言えば、低糖質食が一番効果がでているものの、地中海食も負けてはいないということになります。
そしてそれぞれどれだけ続けていけたのかの割合を示したのが次の数値です。
- 地中海食 85.3%
- 低脂肪食 90.4%
- 低糖質食 78%
継続率の高い順に低脂肪食、地中海食、低糖質食となりました。
こうしてみると、やはり低糖質食は短期的な効果は大きいけれども、継続していくのはなかなか難しいことがわかります。
地中海食は減量の効果が大きいうえに継続率も高いので、3つのタイプでは平均して優れているダイエット食だといえるのではないでしょうか。
それではなぜ地中海食が効果的な結果を残せているのでしょうか。
地中海食がダイエットに有効な5つの理由
- インスリンの分泌を節約して体脂肪を増やさない
- 肥満の元凶となる砂糖を使わない
- 空腹感との闘いがない
- リバウンドしない
- 調理がとても簡単
一般的にダイエットでは脂質の摂りすぎが体脂肪増加につながると考えられていますが、実は脂質よりも糖質のほうが体脂肪の増加につながりやすいのです。
地中海食でよく食べるパスタ、玄米、ヒヨコ豆やレンズ豆などの豆類、ナッツ類などは、糖質を比較的多く含む食品であっても、すべてインスリンの過剰分泌を招きにくい低GI食品であることがわかります。
さらにオリーブオイルは消化管に薄い膜のようなものをコーティングしてくれて、糖の吸収をおだやかにしてくれます。
2番目の砂糖を使わないですが、地中海料理では調理の過程で砂糖のみならず添加物を全く使わないので肥満にならないのです。
3番目の空腹感との闘いが必要ないですが、地中海食は大幅にカロリー制限する必要もなくボリューミーなので空腹感に悩まされることはありません。
特にオリーブオイルの脂質は満腹感を得やすいのです。
4番目のリバウンドしにくいですが、地中海食は不必要なカロリー制限をしないので、リバウンドのリスクは少ないですし、新鮮な魚介類や乳製品や豆類から良質なたんぱく質がとれるので筋肉を落とすこともありません。
5番目の調理が簡単というのは、地中海食は素材の風味と栄養素を最大限に生かしながらシンプルに調理する料理です。
和食と比べても比較的簡単に調理できます。
例えばブロッコリーなどを茹で上げて後はオリーブオイルをかければそれで地中海食の一品ができあがります。
追加にナチュラルチーズやトマトを添えれば彩も良くなります。
和食に勝る?地中海料理
和食というと世界的にもヘルシー料理として評価されています。ただ横山先生はその評価について少々疑問を持っています。
しかし、和食が日本人の長寿を支えているという科学的な根拠(エビデンス)はありません。伝統的な和食は脂質が少なく、低カロリーで、ある点は健康にプラスに働きますが、その反面、タンパク質やカルシウムが少なく、塩分は多いという欠点もあります。さらに、脂質が少なすぎるための脂溶性のビタミンA、D、Eが不足するといった点もあります。
横山先生はいくつかの料理を比較して地中海食が和食より魅力的な理由を紹介しています。
例えば白米のごはんよりもティエッラを勧めます。
ティエッラというのはリゾットの一種でイタリア人自慢の米料理です。南イタリアプーリア地方の伝統料理です。
ティエッラは白米ではなく玄米を使っていますので、白米よりGI値が低く血糖値を上げにくく、また栄養価も高くなっています。
またうどんよりもパスタには優れた点があります。
うどんはGI値が85と高いうえに、麺の断面に空洞が多いために消化酵素が作用しやすくなります。このため消化吸収が進みやすく、血糖値が高くなりがちです。
パスタはデュラム小麦を使っていますが、これは硬質の小麦粉と水分だけで作られたもので、GI値も41と非常に低くなっています。
和食と地中海食の共通点は魚介類を多用することですが、和食は焼き魚が定番ですよね。
しかし焼き魚だと魚の脂が調理の段階で落ちてしまいがちです。これでは確かにカロリーも減るのですが、良質な必須脂肪酸であるDHAやEPAが欠落してしまいます。
とくに避けてほしいのが干物。干物は傷みやすい魚を長期保存する日本古来の知恵ですが、現代の栄養学から見るとお世辞にも健康によいとはいえないのです。
魚の油は時間の経過とともに酸化しやすい食材です。魚の油が酸化すると「過酸化脂質」となり、老化やがんの原因にもなります。
なので干物を食べるなら、一夜干しのものを選ぶのがベターです。
地中海食では魚介類にはオリーブオイルをかけて食べます。オリーブオイルには抗酸化作用がありますので、魚油の酸化を防いでくれます。
地中海式主菜と副菜の食べ方
地中海料理といえばワインも忘れてはいけません。
地中海沿岸ではランチが一番重くなるのですが、その際に昼間からでも少量のアルコールを楽しみます。
ワインには糖質がグラス一杯で2g程度なので、血糖値をあげる心配がありません。
また赤ワインには抗酸化作用を持つポリフェノールが豊富に含まれています。
赤ワインが白ワインよりもポリフェノールが豊富に含まれている理由は、赤ワインは果実丸ごと発酵させるので、皮や種に含まれているポリフェノールが溶け出すからです。
白ワインは皮や種を取り除いた果液を発酵させるので、ポリフェノールの含有量は少なくなるのです。
地中海食は調味料、香辛料の種類が豊富です。
地中海食でよく使われる調味料は、バジリコ、オレガノ、イタリアンパセリ、ニンニク、赤唐辛子などのハーブやスパイスです。
これらの調味料を多用することによって、余分な塩分や油を使う必要がないためにカロリーと塩分の過剰摂取を避けられるのです。
地中海食ではチーズやヨーグルトを毎日のように食します。
チーズにはナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類があります。ナチュラルはその名の通り乳酸菌やかびの働きによって発酵熟成させたフレッシュな生チーズのことです。
プロセスはその生チーズを加熱加工させたものです。
日本で流通しているチーズのほとんどはプロセスチーズですが、地中海ではナチュラルチーズが良く食べられています。
また日本では牛乳からつくられるチーズがほとんどですが、地中海ではヤギや羊からとれたチーズをよく食します。
例えば日本でも人気のペコリーノ・ロマーノは羊の乳から、モッツレラ・デ・ブーファラは水牛の乳からつくられています。
チーズもヨーグルトも良質なタンパク質とともに、ビタミンA、Dとともにカルシウムが豊富に含まれていますので、日本人に不足しがちな栄養素を補給してくれます。