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習慣化は生活に付箋をつける行為
このコラムのシリーズも今回が最後になります。もちろんもっと長く続けることもできるのですが、自分が考えたこと、経験したことの大本については表現できたかなという気がします。
期間としては大体4カ月程度でした。その後はリバウンドはありません。ダイエットしたというよりは良い習慣を身に着けるための試用期間を終えたという感じでした。良い生活習慣を身に着けた結果、その習慣通りの身体に収束していったという感じです。
なので食生活も基本そのままですし、食生活を変える際に変えた他の多くの習慣もそのまま継続していることになります。
というか意識の上ではもはや習慣ですらなく、生活のワンパターンになっているという印象です。習慣を習慣だと意識しているうちはまだ習慣化の過程にあるのでしょう。なんだか禅問答のようですが、新しいハビットチェインで満たされた生活をしているとそう思います。
習慣が身につくまで平均して61日かかるというデータもありますが、
きつかった時期はいつだったかと聞かれれば、やはり糖質中毒を抜く最初の1週間が一番きつかったと思います。その後は様々な新しい習慣を取り入れていったのですが、ダイエットに効果のあるものは何でも試そうというポジティブな気持ちで楽しむことができました。
最初が一番きついと認識していれば、始めてすぐに挫折するリスクを減らせます。最初のきつい段階を乗り越えて、種々の習慣が有機的に結びついて好循環につながっていけば、重い歯車も徐々に動き出すのです。
新しい習慣を入れるという行為は生活に付箋をつける行為に近いと思っています。掲示板のスペースにポストイットがたくさんついている光景がありますけど、掲示板が一日のスペースを表しているのだとしたら、ついているポストイットはそれぞれの習慣を表しています。
粘着率の低いポストイット(習慣)ははがれて落ちてしまいますし、粘着率の高いポストイット(習慣)はずっと掲示板にはりついたままです。
古くなったポストイットははがして新しいポストイットを改めてはりつけたり、古いものの上に上書きするような形で新しいものをはりつけたりすることもあるでしょう。
自分の掲示板がちょっと離れてみてキラキラした付箋で占められているかどうかチェックしてみましょう。総体的によどんだ掲示板になっていませんか?もしそうなら総体的にキラキラしている掲示板に張り替えていきましょう。
普段の食生活は食べたいものよりも体にいいものを
最高血圧 | 139 | 127 |
---|---|---|
最低血圧 | 85 | 80 |
脈拍 | 111 | 94 |
ALT | 145 | 36 |
γ-GTP | 233 | 59 |
総蛋白TP | 8.1 | 7.7 |
アルブミンALB | 4.5 | 4.5 |
A/G | 1.2 | 1.4 |
コレステロール | 200 | 175 |
グリコアルブミン | 14.9 | 11.3 |
上の数字はダイエット前と後で献血時に測った血液検査の結果です。ダイエットを始めて大体3か月後ぐらいです。
まず注目すべきは、問題となっていた脂肪肝関連の数字が大幅に改善していることです。ALTが145から36、γーGTPが233から59になっています。脈拍も111から94へと正常値まであと一歩です。
糖尿病の手前まで来ていたグリコアルブミンの値も14.9から11.3へと減少していますので十分に正常値の範囲内です。実際にダイエットを始めて2か月ぐらいで体調の良さは実感できるようになりました。
ダイエットというとどうしても体重をみてしまいがちですが、この時点での体重減少はおそらく4kg程度だったので、それほど減っていたわけではありません。血液検査の大幅な改善は減量だけではなく、食事の内容を変えたことが大きかったと思います。
糖質制限をかけながらカロリーもみていくと、食事内容は豆腐、ゴマ豆腐、納豆、卵、ヨーグルト、もずく、サラダチキン、焼き鳥、サラダボウル、刺身、鯖缶、牛肉、豚肉などに収束していきました。
特に豆腐、ゴマ豆腐、納豆、卵、ヨーグルト、鳥のささ身、焼き鳥はヘビーローテーションでしたね。
ゴマ豆腐のごまにはセサミンという成分が入っていて脂肪肝を予防してくれますし、納豆に含まれるアルギニン、大豆食品に含まれるサポニンなども脂肪肝予防に効果的な成分だといわれています。
脂肪関連の数値が大幅に改善したのも、これらの食品をヘビロテしていたおかげだと思います。
もちろん飽きてほかのものも食べたいと思うときがあるんですが、とりあえず上記のようなものを口に入れるともう満足してしまうようになりました。
また定期的に献血していたこともよかったと思います。献血は最低5カ月間は間を開けないといけないことになっているので、体質改善にはちょうど良い期間なのです。
悪い習慣だらけで身動きが取れていなかった当時、数少ない”献血”という良い習慣が自分を客観視する機会を作ってくれたのです。
体重は習慣の仕様通りに収束する

世の中のダイエット法というと○○kg、○カ月で痩せることというのが定番になっています。
そこにつけられる形容詞は「劇的に!」とか「楽に」とか「ドバドバ笑」とかですが、習慣化ダイエットはなんて言うかもっと自然で地味なものです。
ダイエットを始めるのに目標体重と達成期間を定めた時点ですでにリバウンドの影が忍び寄っています。
その目標体重が低すぎたり、達成期間が短すぎるとリバウンドのリスクは跳ね上がります。
これに対して習慣化ダイエットはまず身に着けられそうな良い習慣をみつける。そしてその定着に努力して強固なハビットチェーンを構築する。
その結果身につけた習慣通りの身体になるというか、収束していくという感じになります。
バフェットはこういっています。
If a business does well, the stock eventually follows.
ビジネスがうまくいっているなら、株価はいずれ追いついてくる。
ダイエットに置き換えれば、習慣化がうまくいっているなら、体重はいずれ追いついてくるということになります。
注力するのは習慣化のプロセスであって減量ではないのです。
やせる習慣を身に着けることができればその習慣の仕様通りに痩せますし、やせないとすれば習慣化ができていないか、設定した習慣の仕様がやせるようにはできていないということなのです。
習慣化ダイエットは時間の余裕を与えてくれる
バフェットは何よりも自分の仕事の時間を人に邪魔されることを嫌います。
You’ve gotta keep control of your time, and you can’t unless you say no. You can’t let people set your agenda in life.
自分の時間を管理しなさい。ノーと言えずに時間は管理出来ない。周りに振り回されてはいけない。
ルーティンの達人はバフェットのみならず、イチローでも村上春樹でもカントでもルーティンありきです。
まずルーティンの時間が確保されていて、残りが融通が利く時間になります。
そのためある意味では人付き合いの悪いところもでてくるでしょう。
The difference between successful people and really successful people is that really successful people say no to almost everything.
うまくいっている人と本当にうまくいっている人の差はほとんどすべてのことにノーといえているかどうかだ。
マイクロソフトの創業者のビルゲイツがバフェットのスケジュールをみてほとんど真っ白だったことに驚いたといいます。
そんなバフェットさんの生活スタイルを人は”究極にシンプルな生活”と呼んでいます。
それだけではなく習慣化ダイエットは物理的に時間が増えるのです。
習慣化ダイエットによって食生活が改善されると体重が減り、体調がよくなると体がひとりでに動き出します。朝も起床直後から動けるようになり、夜もベットに入ったとたんに眠れるようになります。
つまり朝起きてだるく眠くて動けないとかベットにはいっても寝付けないということがなくなり一日の活動時間が実質的に増えるのです。
毎日の掃除習慣は一回当たりの負担を小さく効率的にしてくれるので、かかる時間も同様に短縮化されていきます。なので一日の時間で自由に使える時間は増えていきます。
エクササイズも基本家でできるので、ジムに通う時間もいらないですし、テレビを見ながらでもできるので効率的です。
時間を犠牲にして無理なダイエットをする必要はなくなるのです。
習慣化ダイエットは時間が味方になる
期限を決めての過酷なダイエットをすることは、自分で自分を時間の奴隷にするものです。
後~日で~キロ痩せないといけないという設定では、毎日を体重のことばかり考えて過ごすようになります。
習慣化ダイエットはその逆です。
習慣化ダイエットは無理のないペースで特に期限を定めるようなことはしません。大事なことは減量ではなく、やせていく習慣を身に着けていくことなので、習慣化が完了すればあとは時間とともに痩せていくのです。
つまり習慣化ダイエットでは時間は友達のようなものです。
バフェットはこういいます。
Time is the friend of the wonderful company, the enemy of the mediocre.
時間というのは良い会社の株を買えば味方になってくれるが、平凡な会社だと敵になる。
前のページでバフェットが株の保有期間を聞かれたときの答えをもう一度載せておきます。
Our favorite holding period is forever.
保有期間は永遠さ。
良い習慣はいったん身に着けたらそれを捨て去る理由はどこにもないのですから、良い会社の株と同じで売らないでずっと持っておくことが自然ですね。
通常のダイエットとちがって習慣化ダイエットは期限を定めないので、一旦身に着けたら生涯その習慣を保持していきましょう。
習慣化ダイエットにかかったコスト

かかった金銭的なコストは食費を除けば、おそらく10万円以内だと思います。購入したのはエクササイズ用の一般的なツール一式と、姿勢矯正用の椅子、枕やマットなどの寝具類、コードレス掃除機ぐらいです。
エクササイズの道具とはヨガマット、筋膜ローラー、筋膜ポール、ストレッチボール、フィットネスチューブ、アブホイール、ダンベル一式、加圧シャツ数枚ぐらいです。いずれも場所をとらない単品で安価です。なので合計しても3万円程度でした。
生活習慣を変える過程で、古い生活習慣の象徴みたいな存在だった椅子や枕などは思い切って捨てたので、それもコストと言えなくもないですが、かなり古いものだったので償却はすでに終わってると考えると費用はなかったといえます。
結構かかってしまったが書籍代です。習慣化のための本やエクササイズ用の本やDVDをかなりの冊数購入したのでそれなりの金額になりましたが、もともと読書が趣味なので楽しみながら勉強できましたし、追加の費用とは個人的には思わなかったです。
バフェットがいっているように良い習慣は一生の財産です。習慣化に投資した費用の償却期間は人生の最後を迎えるときまでですので、事実上誰にとってもコストはゼロだといってもいいでしょう。
購入したフィットネス器具類は壊れるまでずっと使えますし、なかなか壊れるものでもありませんから何年も自分の良い相棒になってくれるはずです。
ハビットチェーンのノウハウは誰にでも再現可能?

自分のやり方を論理的に組み立てて他人にも応用可能にしようとおもったのがこのブログを書き始めた最初の動機です。
なのでもちろん個人差もあるし、まったく合わないという人もたくさんおられると思いますが、ダイエットに失敗してきて困っている人、リバウンドで元に戻ってしまってやるせない気持ちでいる人のなかで、ある程度の割合の人には適用可能だと思っています。
というのも自分自身がよくあるダイエットの失敗を繰り返してきたからです。みんながやるようにダイエットをして、みんながやるように失敗する。その繰り返しです。
昔から生活習慣自体を治さないとダメだよとはいわれてきましたし、その意味では同じようなことを長ったらしく言ってるだけだと思われるかもしれません。
しかしなんとなくそうだろうなと思っていることと、実際に論理だてて分析したうえで納得してから取り掛かるのでは結果には雲泥の差が出ると思います。
このサイトをみて納得されて始められる人は、なんとなく好い生活習慣つけたらダイエットできるだろうなあと考えている人よりも成功確率は確実に高くなると思います。
またこの習慣化のノウハウは別にダイエットに限らず応用できると思います。毎日ジョギングしたい、英会話の勉強をしたい、早起きしたい・・・etc. 、どれに焦点をあてようとも基本は習慣体系全体に目配せしながら、隣接習慣も含めて新しい習慣を導入していってほしいと思います。
ジョギングを習慣化したいとおもってジョギングだけを習慣化しようとすると失敗するでしょう。夏にジョギングするためには早朝の涼しい時間帯をねらうとすると早起きしないといけないわけで、早起きするためには早く寝ることを習慣化しないといけないわけです。
習慣化は連想ゲームみたいなものです。必ずしも因果関係がなくても大丈夫なのですが、いくつかの新しい習慣を導入するときにどれを選択するかについてはそれがヒントをくれるはずです。
ゴールってどこにあるの?

普通ダイエットというと目標体重まで到達したらゴールということになりますが、本サイトの考え方だと良い生活習慣が体系として身についた時がゴールになります。
なので目標体重にその時点で到達していなくても、新しい習慣体系が身についていればゴールだといえますし、習慣体系が身についてないまま目標体重になっていてもゴールにはなりません。
習慣が身についていない段階で目標体重になっていても、そのままだとリバウンドする可能性があるからです。
本サイトのようにまず習慣化が先でダイエットはその結果という方法ですと、ゴールの時点でテープを切ったという喜びや達成感というのは実はあまりありません。
習慣化はいつの間にかできてしまっているものなので、後から振り返ってそういえば意識しなくても習慣になってしまってるよなという感慨はあるとおもいますが、それも静かなものです。
習慣化によるダイエットはゴール時点で周りからの祝福や主催者からの月桂冠をかぶることもなければ勝利インタビューもない代わりにその反動もありません。
○○kgやせるといった目標設定のダイエットをやると、その目標を達成したときには大きな喜びと達成感にひたれますが、その喜びの多くがもうこんな苦しいダイエットをしなくてもいいという開放感から来ているので、結局リバウンドしてしまうのです。
ダイエットを日常の外にある期間限定のイベントとして終わらせないで、習慣を日常に溶け込ませるといった意識が大切になってきます。
ゴールを目指して走っていたんだけど、途中できれいな風景に変わっていってそれに見とれているうちになんだかゴールのことも忘れてしまって、このきれいな風景のなかでいつまでも走り続けていきたいというのが理想です。
習慣は習慣で守られる

習慣を維持していくのに、人は習慣単体でのリターンを考えてしまいがちです。
ランニングを1時間すれば消費カロリーはいくらだからやる価値があるとかないとか、パジャマを着て寝れば朝はすっきりと起きられそうだとか。
それぞれ習慣にはその習慣なりのリターン=報酬がありますが、それ自体は小さなものです。
特に小さな習慣から始める習慣化ダイエットでは、そのインプットの小ささに比例してリターンも小さくなります。
なのでその習慣のリターンのみで評価しまうと続ける意味を見出せなくなって挫折してしまいがちです。
しかしひとつの習慣をやり遂げていくことの大きなリターンは2つあるのです。
一つは以前にもお話した通り自己肯定感が上がることです。
一つの習慣を続けることで得られる自己肯定感は、ほかの習慣化の支えになってくれます。
自分はやれるんだという自信がほかの習慣のチャレンジへとつながるのです。自己肯定感の涵養はハビットチェーン構築の基盤となるものです。
もう一つは心身を整えてくれるということです。
日本には古来からの教えとして「禅」というものがありますよね。禅の教えとして「一掃除、二信心」というものがあります。
仏教を習得するためにはまず掃除をすることで大切であって、仏の教えへの勉学はそれができてから行うものという考えです。
禅行での掃除は徹底したものですから、正直毎日掃除する必要はないぐらい部屋も廊下も人間の手でピカピカに磨き上げられています。朝早く起きて何時間も掃除、夕方時になるとまた掃除です。
部屋をきれいにするという考えからすると毎日掃除する必要はないわけです。なぜならすでにきれいなわけですから。
しかし毎日決まった作業を一心に行うことで精神の安定がもたらされて、その後の勉学への集中力が高まっていくのです。
また掃除機などは使わず、昔ながらのほうきやぞうきんを使ってはいたりふいたりしていきます。境内は広いのでこれだけで結構な全身運動になります。
掃除をすることで生活の中に自然と運動やストレッチという要素が組み込まれているのです。
掃除を行うことで得られる身体への鍛錬と、それがもたらす適度な疲労感は就寝を促して早寝早起きのサイクルをスムーズにしてくれるのです。
習慣の便益を個々に考えるのではなく一連のものとして評価することで、その大きさが計り知れないものだということがわかります。
習慣は習慣で守られるのです。
それでは最後に、
