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低糖質ダイエットは本当に危ないのか!?
低糖質ダイエットはライザップさんの宣伝などにより人口に膾炙しましたが、同時にそのリスクについて専門家からの様々な指摘があります。
自分も糖質制限を始めるにあたり、それら専門家の指摘について一通り目を通して糖質制限のリスクについて前もって把握しておこうと思いました。
そこで気づいたことを記してみます。
糖質ダイエットのリスクを指摘する記事を読むと、いくつか前提条件がおいてあることがわかります。
例えばある記事では糖質制限によって脳梗塞で倒れたという話がされているのですが、その方はハードな糖質制限を何年も続けた結果そのような症状に襲われたのです。
要するに厳しい糖質制限をダイエット期間中だけでなく、何年にもわたって長期に続けた時のリスクについて指摘しているのです。
また糖質制限の程度として「ケトジェニック」ダイエットのようにほとんど糖質をとらないような極端な食事法を長期間続けた場合を前提にして、そのリスクを訴えている記事もあります。
ほかには糖質制限イコール「糖質以外は食べ放題」といったようなちょっと振り切ったようなケースを想定してリスクを語っているものもあります。
これは糖質制限に限らないことですが、極端な食事法を長期にわたって続ければ身体にダメージがないはずがありません。
例えば極端な低脂肪食、極端なカロリー制限、極端な減塩食でも必ず何がしかのダメージが身体に発生するはずです。
自分は上記のような極端な糖質制限は採用しませんでしたし、糖質制限といってもケトジェニックではなく、全体としてはいわゆるローカボの範囲内の食事法を採用しました。
糖質量を一日50g以下に抑える糖質制限は、糖質中毒を抜く最初の1週間程度しか試していません。糖質中毒から抜け出せたと感じてからは徐々に糖質の摂取量を増やしていきました。
アメリカでの評価をそのまま日本に持ってきている

ケトジェニックであれ、ローカボであれ、低糖質ダイエットは一時期アメリカではやったけれど今はもう時代遅れの食事法だという指摘もあります。
日本はダイエット法についてもやはりアメリカの影響を大きく受けているので、アメリカで流行ったダイエット法がタイムラグをおいて日本に上陸してきます。たとえばちょっと昔に流行ったビリーズブートキャンプなどでもそうですよね。
糖質制限もアメリカでは否定された食事法を日本人は今になってありがたがっているという指摘です。
確かに現在アメリカの栄養学会などで評価の高い食事法は地中海食やDASH食などで、低糖質はデメリットが多い食事法という評価がされています。
ただしそれは主に欧米人を対象にした研究での評価です。そもそも平均的なアメリカ人と日本人では摂取している栄養配分が大きく違います。
大雑把に言うとアメリカ人の主食は肉類なのでたんぱく質を多くとり、日本人の主食は白米なので炭水化物を多くとっています。
その差はとても大きく、日本人が普通に食べるような丼のごはんをアメリカ人は苦痛に感じます。牛丼などはアメリカ人はなかなか食べきれないのです。
逆に日本人はレストランでアメリカ人が食べるステーキの大きさに驚きます。肉の塊のようなステーキが出てくるので、とてもじゃないですが一人では食べきれません。
それぐらい両国民の食生活というのは違うわけですから、アメリカで評価された食事法をそのまま日本人にあてはめるというのも不自然なわけです。
特に日本人の食生活は年々炭水化物過多になっており、生活習慣病が国民病ともいわれる時代にあっては、糖質制限のリスクを過大に見積もっているところが無きにしも非ずというのが僕の実感です。
どのような食事法がどのような影響を健康に与えるのかという研究は、長年にわたって膨大なデータを集める必要があるので、なかなかこれだという結論がでるまでには時間がかかってしまいますし、その結果の評価も時代によって変わってきます。
専門家の指摘を踏まえながら、極端な方法をとらず無理のないダイエット食を選択していくべきだと思います。
糖質ダイエットをやってはいけない人

糖質制限をすると、筋肉の分解をさけるためにたんぱく質を多くとらなければなりません。しかし腎臓に問題を抱えている方の場合は、たんぱく質の摂取は抑えなければなりません。
というのも腎臓にはたんぱく質の代謝物=老廃物を処理してくれる働きがあるのですが、腎機能が低下している状態でたんぱく質を過剰に摂取すると腎臓に負担がかかってしまうからです。
そのため腎臓関連の患者さんの場合は、たんぱく質で取れないカロリー分を脂質や糖質で補う食事法をとります。
腎臓には塩分の取りすぎもよくありません。腎臓は余分な塩分と水分を体外に排出してくれる働きがあるのですが、塩分の取りすぎは腎臓を疲弊させて機能を低下させるからです。腎臓の機能が低下すると血圧が高くなり、これがまた腎臓に負担をかけます。
たんぱく質を摂るために牛肉や鳥のささ身を食べる機会が多くなると思いますが、調味料として塩コショウを使うことが多いので、その場合は腎臓に負担がかかります。
肥満や高血圧などの生活習慣病は肝臓にも腎臓にも影響してきます。現在肥満である場合は肝臓腎臓どちらか、もしくはどちらにも問題を抱えているケースがありますので、自分がどんな状態なのか把握しておくことは食事法を選択するうえでも大切です。
そのためにはやはり血液検査が必要になります。
肝臓に問題がある場合は糖質制限は有効ですが、腎臓に問題がある場合は逆にダメージになります。どちらにも問題があればカロリー制限をしたうえで塩分も控えなければなりません。
内臓系に問題がなく単に健康と美容のためにダイエットするということであれば、自分の好みで食事法を選択してもいいのですが、健康にかかわる状態であれば専門家の指導にしたがって正しい食事法を選ばなければなりません。
ケトン体質に切り替わるまでに禁断症状がでる

糖質ダイエットの目的の一つは、必ずしも必須ではないと思いますが、体のエネルギー源を炭水化物=糖質から脂肪を分解してできるケトン体へと変えることです。しかしこの切り替えが難しい体質の人もいます。
今まで炭水化物を過剰に摂っていた人が急に摂取をやめると、高レベルで維持されていた血糖値が落ち始めます。そのとき頭痛や立ち眩み、イライラなど一時的ですが低血糖の症状がでてきます。
そういうときは無理をせずにチョコレートやコーラなどから糖分を摂ってほしいのですが、この脱糖質期間は早い人で2~3日、遅い人だと1か月、平均して1、2週間程度はかかります。
実はダイエットで一番苦しい期間がこの最初の脱糖質期間なのですが、多くの人はこのことを知らないので、そのような症状に見舞われるとやっぱりダイエットは大変だと思ってここでやめてしまう人が多いのです。
とはいえ体質的に切り替わらない人もいます。そうなるといつまでも禁断症状を我慢していても意味がないので、糖質ダイエットは向いていないと思ってスパッとあきらめたほうがいいと思います。
低糖質は体質的に合わないんだとわかっただけでも収穫があります。その時は他の低脂肪食やカロリー制限などのダイエット法を試してみましょう。
低糖質は便秘になりやすい

低糖質ダイエットをすると女性は特に便秘になりやすくなります。体重に悩んでる女性は便秘に悩んでいる人も多いので、ダイエットでさらに便秘になるというのは結構な苦痛になります。
なぜ便秘になるかというと日本人の場合主食が白米なので、糖質制限で白米が食べれなくなると白米に入っている食物繊維が摂取できなくなるからです。
また白米だけではなくパンやそば、うどんなどにも食物繊維は豊富に含まれていますので、糖質制限をすると食物繊維の摂取量の低下は避けられないのです。
食物繊維の不足を補うために、糖質ダイエットでは良質な油やほかの食材からの食物繊維の摂取を進められます。
例えば野菜、海藻類、豆類です。果物類も食物繊維が豊富ですが、果糖は血糖値を上げにくいといわれるもののやはり糖ですから、避けたほうがよいでしょう。
ただこれらの食材を結構な量で摂取しても、便秘になりやすいというのが実感です。
お通じをよくするにはこのほか発酵食品の摂取をお勧めします。ヨーグルトや納豆、ナチュラルチーズなどですね。
自分は牛乳を飲むと下痢をする体質なので、便秘気味になると牛乳を飲んで解消していました。ただこれは僕のような乳糖を分解できない体質の人に限りますね。
糖質ダイエットはリバウンドしやすい?

糖質ダイエットはリバウンドしやすいといいます。これは特に日本人は一日の摂取カロリーの大きな割合を主食であるコメからとっていますので、大好きなお米を抜く糖質ダイエットは精神的にストレスをため込みやすいというのが大きな原因の一つでしょう。
米以外にもケーキやチョコレートやお菓子などの甘いものを制限することになりますし、現在はこのような甘いものがちょっと歩いてコンビニにいけばたくさんそろっています。
そういう意味では糖質断ちというのはなかなか難しい環境に生きているわけです。
糖質はほかの栄養素と違って摂取すればするほどほしくなるという中毒性を持っています。なのではじめはちょっとずつと思っていても、どんどん食欲が加速していき、すぐに規定量を超えていってしまうわけです。
特にダイエットが目標体重に到達して炭水化物を再び摂るようになると、今まで我慢していた分、欲求のままに摂取してしまいがちです。そうなるとやっぱりリバウンドしてしまうことになります。
もうひとつ糖質ダイエットがリバウンドしやすいといわれる理由は、短期間で成果を出す場合に糖質ダイエットが採用されるケースが多いからです。即効性があるというのは糖質ダイエットの大きなメリットの一つですが、その反動でリバウンドしやすいということでもあります。
低糖質は筋肉が落ちやすい

糖質は運動時のエネルギー源になります。糖質を摂らないで体を動かそうとすると、体は脂肪とともに筋肉を分解してエネルギーに変えようとします。
なので筋トレなどで筋肉を維持していかないと、脂肪以上に筋肉が落ちてしまいます。これは基礎代謝量を落とすのでリバウンドしやすい体にもなります。
ボディビルダーなどは体づくりの過程において減量期と増量期を分けます。減量期はできるだけ筋肉を落とさずに脂肪を落とすことに注力します。
しかし減量期に脂肪だけを落としていくというのはプロでもなかなか難しいといわれています。
なので増量期よりも減量期のほうに筋トレに力を入れるという人もいるぐらいです。それだけ減量期における筋肉維持は難しいとも言えます。
低糖質はお金がかかる!?

低糖質はお金がかかるというイメージがあります。これは半分当たっていて半分外れていると思います。
炭水化物で作られる商品は加工がしやすく大量生産もしやすいので、その分安く提供できるので単価は安くなります。
したがってコンビニなどでも商品を用意しやすく、このため現代人はいつでもどこでも安価な糖質商品を手に入れる環境にあるわけです。これが現代人の肥満につながっている原因の一つであることは間違いないと思います。
糖質ダイエットをしようとするとコンビニも最近はその種の商品を多くそろえてくれているのですが、やはりスーパーなどには品ぞろえではかないません。
たんぱく質の代表素材といえばステーキですよね。確かにステーキは割高ではありますが、それでも近年は大分安くなりましたし、200g以上のお肉でも1000円以下で買えるところがほとんどです。
炭水化物商品と比較すれば高いですが、そもそもお肉や野菜などは身体に必須な栄養素を持っている食材です。自分の身体を作ってくれる食べ物だと思えば自分の健康への投資だと思えば価格が最上位の指標にはならないと思います。
空腹を満たすためだけの食品と考えるならコスパだけ考えれば良いのですが、残念ながら人間には必ずたんぱく質、炭水化物、脂質、ミネラル分、食物繊維がバランスよく必要なのです。
それに例えばスーパーはコンビニよりも品ぞろえがよく、商品単価も大量購入が前提なのでコンビニで単品購入するよりも割安になっています。
たんぱく質も3食動物性たんぱく質である必要はなく、納豆、豆腐などの色粒性たんぱく質が取れる大豆食品や刺身や魚の水煮缶詰などで摂れますので、コスパを追求していけばいくらでも可能だと思います。
そもそもカロリー制限によって食べる量が減るのでその分食費が浮きますし、レコーディングダイエットのページでも書いたのですが、不要不急の外食を控えるようになるので総合的には間食も減って食費は減ると思います。
ケトン体質特有の体臭が発生する

よくいわれることですが、糖質制限をすると独特の体臭や口臭が発生するといいます。いわゆる「ケトン臭」と呼ばれるものです。
糖質制限をすると身体はエネルギーを欲して身体の脂肪を肝臓で分解してエネルギーに変えるのですが、その時には発生するのがケトン体と呼ばれる物質です。この物質が発する匂いがケトン臭と呼ばれるものです。
ケトン臭はつーんと鼻につくにおいで、人によっては果物が腐ったようなにおいと表現することもあります。
これは肝臓で分解されたケトン体が血中に流れ出し、その一部が汗などになって体表に出てくるからです。
本人はなかなか自分のにおいに気が付かないので、周りの人に気を使わせてしまいますし、その意味ではハードな糖質制限をするなら匂いについても自覚しておいたほうがよいでしょう。
バランスのいい食事ってどういうこと!?
それでは糖質ダイエットで思わぬリスクを防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。それはまずダイエットの大原則である自分の消費カロリー以上には摂取しないということです。
消費カロリーの枠内で最低限の糖質を取りながら、そのほかの栄養素をバランスよく摂取するということになります。
また目標とする体にまで減量できた時点で、リバウンドに気を付けながら徐々に炭水化物をとる量を増やしていくことが大切だと思います。
そもそもお医者さんのいうバランスの良い食事とは現時点で何の問題も抱えていない正常な人にあてはまる健康的な食事です。
栄養を考えないで炭水化物を中心によく食べるひとにバランスの良い食事といっても、普段食べているものに加えて野菜の量をふやすぐらいで、いびつな量と配分になってしまっていることに変わりはありません。
炭水化物を中心にバランスの良い食事を適用すればやせていくことは間違いないですが、現時点ですでに生活習慣病の症状が出ている人に対して、それが治るまで一定期間糖質制限食を適用すること自体はおかしくないと思っています。
問題は生活習慣病の人が、糖質制限食を経験して劇的に効果を感じたときに、健康になってもその食事法をずっと健康にとっていいものだと勘違いしてしまうことだと思います。体質が正常化すれば、食事法も正常に戻すのが普通です。
逆に言えば糖質ダイエットが減量にも体調にも効果的だったということは、その人がそれだけ悪い食習慣をつづけて不健康になっていたことの証なのです。
極端な糖質ダイエットは健康にとって有害である
糖質ダイエットは普段から炭水化物を過剰に摂取していて生活習慣病気味の人が採用すべきダイエット法である
腎臓に問題を抱えている方はやってはならない
減量して健康になったら食事法もバランスの良いものに変えていく必要がある